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Martin Freeman Tiny Mix Tapes interview. - Part 3- [Music & Drama]

Tiny Mix Tapesという音楽情報サイトに掲載されたマーティン・フリーマンのインタビューPart 3です。これで終わります。ソウル・R&Bの他、ロックやヒップ・ホップについても歯に衣着せぬ発言をしています。ここまで言えたら、いっそ気持ちがいいですね。和訳は拙訳です。誤訳等お気づきの点があれば、コメント欄でお知らせください。

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Source: Martin Freeman (The Office [UK]): Interview

I: まだロックについて話していませんね。R&Bと同じくらいロックが好きですか?

M: ぼくは若い時、自分に縛りをかけていたんだな。ぼくはよくこう言ったもんだ、「白人のギタリストが多いバンドは好きじゃない」って。まぁ、真実からかけ離れているとは思わないけどね。そうは言ったものの、もし「現代のアメリカン・ロックで好きなバンドは?」と聞かれたら、4つは挙げられると思う。クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジなんていいよね。イギリスのバンドも少しは好きだよ。アメリカはたくさんの人が音楽を作っている最高の場所だけど、ぼくがその恩恵にあずかるには25歳ほど老けている。でももちろんそういう音楽を作っている人たちも25歳ほど老けているのに、彼らは18歳のふりをしてるんだ。「イエー、ブッシュひっこめ!」てな感じで。大人になれよ!ジョー・ストラマー[訳者注:イギリスのパンク・バンド、クラッシュの元ボーカリスト]じゃないんだぜ!いい加減にしろ!やめろ、いいからやめるんだ!髪を染めるのもやめとけ!

I: 現代のソウルはどうですか?古いのと同じように好きですか?

M: 答えはとっくにわかってるだろ?答えが予測可能なんて嫌だけど、まぁ答える必要もないか。ぼくが最後に買った現代のソウル・アルバムは、90年代半ばから後半にかけてのものだ。デ・アンジェロ、エリカ・バドゥ、アドリアナ・エヴァンスは好きだったな。みんないっしょくたに「ニュー・ソウル」なんて呼ばれてて、やな感じだったけど。R.ケリーば別にどうでもよかった、「おまえをあちこちなめまわして…」なんてわけわかんないよ。ぼくくらいの年齢になると、「別に好きじゃなくてもいいんだよな、無理やり好きになることもない。好きにはならないと思うけど、それはそれでオッケー」という境地に達するんだ。ヒップ・ホップも同じだった。ぼくらの年代の人間にとって、ヒップ・ホップは1992年で終わってる。初めてNWAのレコードを聞いたとき、「すっげー、最高じゃん!」て思ったよ。とにかくやらしくてさ。パブリック・エナミー・スクールからこっそり抜け出して、もっとワルなのを聴くような気分だった。でもそこから進歩がなくて、[パブリック・エナミーの]チャック・Dが時代遅れみたいに見られるようになった時、ちょっとがっかりしたんだ。「ちょっと待った、やつだって何か言おうとしてるんだよな。」考えてもみなよ、ぼくはギャングじゃない。ぼくが現代のヒップホップを好きになる理由なんてないんだ。ダニエル・ドレイク[訳者注:インド生まれのイギリス人フォーク・シンガー]が何か50セント[訳者注:アメリカのラップ・シンガー]のことを歌うのと同じくらい、僕には意味のないことなんだ。デ・ラ・ソウルやジャングル・ブラザースあたりはよかった。好きだったよ。でも[歌詞に]「あったりめーだよ」とか、性懲りもなく白いリムジンとか出てきたりすると、もうね…

I: 自分と共通項を見出すのは難しいですよね。

M: そうなんだよ!共通項を見出そうなんて、恐ろしいことだよね。考えを深めるとか、ディベートするとか、そういう風にならない。どんなことをしても金を手に入れるんだっていう風になっちゃうんだよ。ぼくはそんなもののファンじゃない。肌の色は関係ないよ。どんだけくだらないこと歌ってるんだよって思う。

I: コンピレーションアルバム“Made to Measure”について聞かせてください。このアルバムのほとんどの曲- "I Want You Back”や“Tears of a Clown”-は、大方のソウルファンにとってはおなじみの曲ですよね。みんながもうすでに持っているような曲をアルバムに入れた目的はなんですか?

M: ええと、それはそういう風に作ってって言われたから。それが一番の理由さ。まぁもう少しマイナーな曲を入れてもよかったかなとは思うけど、でもこれはこれで純粋にぼくの個人的な趣味を反映しているからね。もっと正直に言うと、ぼくは死ぬほど“I Want You Back”が好きなんだよ。この曲が最高じゃないなんて言わせない。ただ、多くの人がこういう曲を聞いているっていう話には異議ありだな。実際、多くの人は聞いたことないんだよ。現実をちゃんと見なよ、アルバムのジャケットに載ってるぼくの顔や名前に惹かれた人たちが、20年もノーザン・ソウルの7インチを買い続けてるわけないだろ?「ねえねえ見て、この人この間テレビに出てたよね。彼、こういうのが好きなんだぁ。ちょっと聞いてみようかな?」てな感じのはずさ。

I:そうすると、BBCのラジオショー“The Great Unknown”でDJをした時にアーティストを選んだ理由もそれと同じですか?あなたはあまり知られていないザ・バンドやザ・ステープル・シンガーズにスポットを当てると言っていましたが、私からすると特別マイナーなアーティストとは思えませんでしたが。

M: ぼくと君の間なら、まあそうだけどさ。でももし君のいとこやぼくのおば、君のおじさんやぼくの友達のお母さんのような人について話しているなら、彼らはぼくらほど音楽に入れこんじゃいないっていうことを忘れてるね。彼らは本当に興味ないんだ。別にブリットニー・スピアーズにケチをつける気はないけど、でも彼女がいくつもNo.1ヒットを出しているのに、ザ・バンドみたいなバンドが決してNo.1にならなかったことにはちゃんと理由があるんだ。すべてはラジオでどれだけオンエアされるかにかかってるんだよ。少なくともこの国では、全員がこの素晴らしいザ・バンドを聞いてるわけじゃない。音楽ファンだったら大体ザ・バンドを聞いたことがことがあるだろうけど、それでもせいぜい「ザ・ウェイト」[訳者注:ザ・バンドの最大のヒット曲]止まりさ。わかるだろ?彼らの他のアルバムなんて知りもしないんだよ。本当に知らないんだ。人類の大多数は音楽に対しては受け身で、やつらはただ携帯電話で音楽をダウンロードするだけ。音楽を知る努力なんてしやしない。12歳の子供にいたっては、知ったこっちゃないって感じだろ。[彼らにとって]音楽なんてほんの6か月前に発明されたものなんだ。もし50年代の音楽について語ったりしたら、聖書の時代の話かと思うだろうな。そういう人達に、ぼくの力で素晴らしいロバート・ジョンソン[訳者注:アメリカの著名なブルース・シンガー]の[レコードの]B面に興味を持たせることができるかっていうと、そんなことはできっこないと信じている。もちろんありえないさ。でもぼくたちは、ぼくらが知ってることを他の人たちは知らないんだってことも忘れてる。もし君が公務員で、アートにもメディアにも触れる機会がなかったら、人々は君の話がさっぱりわからないだろう。君の国のラジオでザ・バンドやステープル・シスターズがかかるのを聞いたことがある?ないだろ。断言してもいいよ。

I: 確かにそのとおりですね。「ザ・ウェイト」が流れることはありますが、かけるのはオールディーズ専門局だけです。

M: ぼくたちの国のラジオ局よりきっちり区別がされてるんだな。この国のラジオ局にはもうがっかりだよ。でもアメリカだと、主要なラジオ局は新しい曲に古い曲、黒人音楽に白人音楽、ロックにラップ、それらをミックスしてかけたりしないよね。だからぼくはこう言うんだ、「さあ、これから曲をを30分かけるから聞いてみて、ひょっとしたら気に入るかもしれないよ」って。それって、今までも人々がぼくや他のみんなのためにやってくれてたことなんだ。もし誰かが音楽を教えてくれなかったら、ぼくは今自分が好きな音楽のほとんどを知ることがなかっただろう。生まれる前から音楽のすべてを知っているなんてことはあり得ないんだからさ。

君は本当に素晴らしい公共の仕事をしてるんだよ(笑)。ぼくは自分のことをイギリスのガンジーだと思っている。それくらい重要な仕事なんだ。

I: 曲を初めて聞くとき、何で判断しますか?頭?心?それとも、その両方ですか?

M: 人によっては頭で聞くこともあるんだろうけど、ぼくの場合、最近の15年は頭では聞かないようにしているよ。頭で理解するっていうのは信用できないってことに気づいたんだ。知性に訴えるような音楽は好きじゃない。存在は理解できるよ。それは別にいいんだ。学生時代、ぼくの周りにはモリッシー[訳者注:イギリスのロック・シンガーで、ザ・スミスの元ボーカリスト]ファンが多かったけど、ぼくはそれほどでもなかった。要は、「ぼくのお尻が揺さぶられるか?」ってことさ。もっと言えば、「部屋にこもってその曲を一晩中聴きつづけたいか?」ってこと。頭脳っていうのは、舞台、映画、音楽、その他もろもろのアートに影響を及ぼす一番危険な臓器なんだ。頭がいいっていうのは別に悪い事じゃない。ばかのまんまで本を読むよりはましだろう。でもそこに心や、いわゆる魂っていうものがなければ、まったく意味がない。それは音楽のセンスとは無関係だ。モーツァルトには魂がある。ぼくが思うに、ビートルズにも魂がある。肌の色は関係ないよ。ぼくはただ知りたいんだ、「君は本気なのか?」ってことを。わかるだろ?「それ、マジで言ってんだろうな?」ってこと。その音楽は君の肌の下に染み込んで、君の胃袋をぐらぐらと揺さぶってくれるかい?

I: あなたの人生は、その哲学がベースになっているんですね。

M: そうであるようにいつも努力してるよ。ぼくは演劇学校に通っていた頃に、自分がレコードを判断してたのと同じ方法で、自分のやることや自分のいる業界のことを判断するって決めたんだ。決して頭で判断したことはない。本当だよ。

I: 頭よりも、お腹に導かれてきたっていうことですね?

M: そうそうそう。そうでなくっちゃ。知的な音楽には本当に興味がない。ぼくの場合、エルビス・プレスリーに接するようにレオナード・コーエン[訳者注:カナダのシンガー・ソングライター]に接することはない。もし自分が45歳だったら、レオナード・コーエンを聞いて「えっ、これって最高じゃね?」って思うかもしれないけど。音楽には、それを知るのにふさわしい時がある。ぼくが18の頃にヴァン・モリソン[訳者注:アイルランドのロック・シンガー]を聞いてたら、多分ひでえなって感じただろう。音楽を聴くには、それ相応の準備期間が必要なんだ。レオナード・コーエンはそうひどくはないよ、でもぼくには訴えかけない。主観的なんだけど、それが音楽の美しさなんだ。君が何を知っているかとか、何を考えているかとか、そういうことは関係ない。君の好きな音楽を聴いて、「そんなのクソだ」っていうやつはどこにでもいるんだよ。[そう言われたら]君はなんて言い返す?何も言えないだろ!ぼくにはボノ[訳者注:アイルランドのロックバンド・U2のボーカリスト]が好きな奴に「ボノはバカ野郎だ」って言って、それを信じさせることなんてできない。彼らはボノが最高だと思っている。好きにすれば?いいんじゃない。ぼくには関係ないし、他に言いようがない。もし誰かがぼくをいじめようとしたり、ぼくの好きなアーティストのことをクソだって言っても、ぼくは「ほっといてくれ。[俺はそのレコードが好きなんだから、そのまま]好きでいさせてくれ。君にに迷惑かけやしないよ。」ぼくの親友はぼくが大嫌いなレコードが好きで、その逆もまた然りだ。だからって、ぼくが彼らを嫌いだってことにはならないんだよ。

I: でもそのお友達は、あなたの家にレコードを持っていけませんね。
M:  (笑)そうだね。家に来るならいつでも歓迎するけど、ぼくの家ではかけさせないよ。

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いやー、本当にいいこと言ってますね。特に曲を頭でなく心で判断する、のくだり。私にはモリッシーは心に訴えかけてくるので、そこだけ見解に相違がありますが。でも読んでいてとても気持ちがよかったです。親近感がわきすぎて大変…。忙しいのは重々承知ですが、もっと音楽番組にも出て欲しいな。
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