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Martin Freemanが出演したラジオの音楽クイズ番組『All the Way from Memphis 』S1Ep4、BBC Radio 4 Extraで再放送中。  [Music & Drama]

マーティン・フリーマンが2004年に出演したラジオの音楽クイズ番組『All the Way from Memphis 』。現在S1Ep4がBBC Radio 4 Extraで再放送されています。番組紹介ページはこちら:

BBC Radio 4 Extra - All the Way from Memphis Series 1 Episode 4

"Listen Now"という単語の上のスピーカーボタンを押すと音声を聞くことができます。今日から約1週間聴取可能。James Waltonがホストで、他に Andrew Collins(BBC 6 Musicのプレゼンター), Tracey MacLeod(キャスター), Stewart Lee (コメディアン・DJ)がパネリストとして出演しています。内容は2組のペアの対抗戦で、クイズに正解するとポイントが加算される形式です。後ほどクイズの内容と解答を箇条書きで書いていく予定。あなたのロック&ポップの知識が試される…!?

【5/4追記】クイズの内容と解答を追加しました。やーもう本当に遅くてすみません。半年もたってしまった…もう見てる方いないかもですね(汗)。

1. 4つの曲をそれぞれ部分的に流し、共通項がないバンドを当てる。
【Andrew&マーティン】→「Rocks」by Primal Scream 「Mother」by John Lennon 「The End」by The Doors 「Everybody Wants To Rule The World」by Tears for Fears

【答え】The Doors (他の3バンドはアーサー・ヤノフのプライマル・スクリーム・セラピー(原初療法)と何かしら関連がある。The Doorsの「The End」はフロイトのエディプス・コンプレックスを歌っている)

【Tracey&Stewart】→「Waterloo Sunset」 by The Kinks 「Highway To Hell」 by AC/DC 「Molly's Chambers」by Kings of Leon 「Hungry Like The Wolf」 by Duran Duran
【答え】Duran Duran (他の3バンドは兄弟が在籍している。Duran Duranはテイラー姓が3人いるが、兄弟ではない)

2. 読み上げられるミュージシャンの回想録を聴き、誰かを当てる。
【Andrew&マーティン・答え】Shane MacGowan
【Tracey&Stewart・答え】Nico

3.サンプリングが使われている曲の一部を流し、曲名、歌い手とサンプリングされている曲名と歌い手を当てる。

【Tracey&Stewart・答え】曲名/歌い手:「Can I Kick It」 by A Tribe Called Quest サンプリングされている曲名/歌い手: What A Waste by Ian Dury & The Blockhead
【Andrew&マーティン・答え】曲名/歌い手:「Rumble in the Jangle」 by The Fugees サンプリングされている曲名/歌い手:「Name Of The Game」 by ABBA


4. ホストがあげる4枚の優れたアルバムの中から1枚を選び、以下のことに答える。
(1)バンド名またはアーティスト名
(2)アルバムの発売年
(3)アルバム1曲目の冒頭の歌詞
(4)アルバム収録曲のうち7曲の曲名
※ホストがあげた4枚のアルバム:『Pet Sounds』『Blood on The Tracks』『The Joshua Tree』『Nevermind』

【Andrew&マーティン・答え】『The Joshua Tree』(1)U2(2)1987年(3)I want to run, I want to hide (4)Where the Streets Have No Name, I Still Haven't Found What I'm Looking For(チームが答えられたのはここまで)With Or Without You, Bullet the Blue Sky, Mother's of the Disappear他

【Tracey&Stewart・答え】『Pet Sounds』(1)The Beach Boys(2)1966年(3)Wouldn't it be nice if we were older, Then we wouldn't have to wait so long(4)God Only Knows, Pet Sounds, Caroline No, Stoop John B, Wouldn't It Be Nice, I Just Wasn't Made for These Times他

5.歌詞の一部をアナウンサーが普通に読むのを聞き、誰の曲か当てる。
【Tracey&Stewart・答え】「Alone Again」 by Gilbert O'sullivan
【Andrew&マーティン・答え】「Wake Me Up Before You Go-Go」by Wham

6. ランダムクイズに答える。早押し。今回のテーマ:1位、一発屋、One Of Oval Kind(?)

・1981年に「Once In A Life Time」で1位をとったのは?【答え】Talking Heads
・1996年に史上最も短いアルバムタイトル「K」で1位にとったバンドは?【答え】Kula Shaker
・女性のデュオで初めてイギリスのシングルチャートで1位をとったのは?【答え】 Baccara
・イギリスのシングルチャ-トで最年少で1位をとったのは誰?【答え】Jimmy Osmonds
・イギリスのシングルチャ-トで最年長で1位をとったのは誰?【答え】Louis Armstrong
・次の曲を聴いてバンドを当ててください【答え】The Only Ones
・1位をとった曲で唯一曲のタイトルもバンド名も回文なのは?【答え】SOS by ABBA
・一発屋で「The One And Only」でトップ10位に入ったのは誰?【答え】 Chesney Hawkes
・次の曲を聴いて誰が書いたか、誰が歌っているか当ててください【答え】書いた人:Joni Mitchell 歌い手:Mathew Southern Comforts
・Brian and Michael の唯一のヒット曲は?【答え】Matchstalk Men and Matchstalk Cats and Dogs

今回追記にあたって何度も聴きましたが、いやはや難しかったです。というかみんな本当にオタク?(笑)。でも楽しかったー!解答者も時々ジョークを飛ばしますが基本的には真剣で、間違ったり思い出せなかったりするとまじめに悔しがっているのが面白かったです。ABBAを即答したマーティン、かっこいい~♪設問と解答はおおむね合っていると思いますが、もし違っていたら遠慮なく教えてください。


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Martin Freemanが出演したラジオの音楽クイズ番組『All the Way from Memphis 』S1Ep1、BBC Radio 4 Extraで再放送中。  [Music & Drama]

(注:姉妹ブログ Hi Skipper!にも同じ番組の記事を載せていますが、こちらの方が少し詳しいです)
マーティン・フリーマンが2004年に出演したラジオの音楽クイズ番組『All the Way from Memphis 』。現在BBC Radio 4 Extraで再放送されています。番組紹介ページはこちら:

BBC Radio 4 Extra - All the Way from Memphis Series 1 Episode 1

James Waltonがホストで、他に Andrew Collins(BBC 6 Musicのプレゼンター), Tracey MacLeod(キャスター), Stewart Lee (コメディアン・DJ)がパネリストとして出演しています。内容は2組のペアの対抗戦で、クイズに正解するとポイントが加算される形式です。ではここでざっくりとクイズの内容を箇条書きで書いていきます。そうそう、ペアの組み合わせはAndrew&マーティン、Tracey&Stewartです。【11/26追記】設問1と2の答えを追記しました。【11/27追記】残りの答えをアップしました。

1. 4つの曲をそれぞれ部分的に流し、共通項を当てる。
【Andrew&マーティン】→「Paranoid」by Black Sabbath/「Johnny Come Home」by Fine Young Cannibals/「Needles and Pins」by The Searchers/「Martha's Harbour」by All About Eve
【答え】バンド名が映画のタイトルからとられている

【Tracey&Stewart】→「Mouldy Old Dough」by Lieutenant Pigeon /「Ya Ya」by John Lennon/ 「Changes」by Kelly Osbourne/ 「Unforgettable」by Natalie Cole 
【答え】4曲とも親子で共演している

2. 大物ミュージシャンのインタビューの一部を流し、誰がしゃべっているかを当てる。
【Tracey&Stewart・答え】Carl Perkins
【Andrew&マーティン・答え】Chuck Berry

3.変り種のカバー曲の一部を流し、曲名、歌い手と元の歌い手を当てる。
【Andrew&マーティン・答え】曲名:「Atmosphere」 歌い手:Ted Chippington 元の歌い手:Russ Abbot
【Tracey&Stewart・答え】曲名:「Heigh Ho」歌い手:Tom Waits 元の歌い手: The seven dwarfs

4.歌詞の一部をアナウンサーが普通に読むのを聞き、誰の曲か当てる。
【Andrew&マーティン・答え】「Stay with Me」 by Faces
【Tracey&Stewart・答え】「Boys Back in Town」 by Thin Lizzy

5. ホストがあげる4枚の優れたアルバムの中から1枚を選び、以下のことに答える。
(1)バンド名またはアーティスト名
(2)アルバムの発売年
(3)アルバム1曲目の最初の歌詞
(4)アルバム収録曲のうち7曲の曲名
※ホストがあげた4枚のアルバム:『Thriller』『Never Mind the Bollocks』『(What's the story)Morning Glory?』『Hunky Dory』
【Tracey&Stewart・答え】『Never Mind the Bollocks』(1)Sex Pistols (2)1977年 (3) Cheap holiday another people's misery (4)Bodies, God Save the Queen, Anarky in the UK, Holdays in the Sun, E.M.I., Pretty Vacant, Liar

【Andrew&マーティン・答え】『(What's the story)Morning Glory?』(1)Oasis (2) 1995年 (3)"I don't feel as if you know me you take up all my time (4)(What's the story)Morning Glory?, Wonderwall, Don't Look Back in Anger, Roll with It, Champagne Supernova, Some Might Say(チームが答えられたのはここまで)
【riekのコメント】"Blur!"と言ってるマーティン、ウケたけど、1995年じゃなくてよかったね(^^; あと「She's Electric」の歌詞をあそこまで歌えるのに、タイトルが出てこなかったのは残念~。

6. ランダムクイズに答える。早押し。今回のテーマ:ミュージシャン同士の関係
・Bob Dylan のアルバム『Nashville Skyline』で数曲一緒にボーカルをとっているのは誰?【答え】Johnny Cash
・The Damnedの1stアルバムをプロデュースしたのは誰?【答え】Nick Lowe
・Fun Boy ThreeとBananaramaが共演してヒットした曲は?【答え】「It ain't What You Do (It's the Way That You Do It) 」
・1993年のシングル「Relight My Fire」でコラボレートしたのは誰と誰?【答え】Lulu、Take That
・Luluが歌っている「Shout」のオリジナルは誰?【答え】Isley Brothers
・次にかける曲(「Video Kills Radio Star」By The Buggles)とFranky Goes to Hollywoodとの関連は?【答え】両方ともTrevor Hornが関わっている
・1972年にJames Taylorと結婚したのは誰?【答え】Carly Simon
・Kerry Katonaと Brian McFaddenが結婚したとき、二人が在籍していたバンドは?【答え】Westlife, Atomic Kitten
・次にかけるNo1ヒットシングル(「Nothing Compares to You」 by Sinead O'connor) を書いたのは誰?【答え】Prince
・Paul Youngのヒット曲「Everytime You Go Away」を書いた有名デュオは?【答え】Daryl Hall & John Oates
・Led Zeppelinの前にJimmy Pageが在籍していたバンドは?【答え】The Yardbirds
・90年代に唯一トップテンに入ったRolf Harrisの曲は?  【答え】「Stairway to Heaven」
・1992年にヒットしたWhitney Hustonの曲「I Will Always Love You」のオリジナルは誰?【答え】Dolly Parton

いやーそれにしてもなんて楽しい番組♪元は2004年の放送ですから、マーティンの声が若いですね。素敵です。紹介も「『オフィス』のティムと『銀河ヒッチハイクガイド』のアーサーを演じた~」という感じでした。何気ない話でも笑いをとるあたりにユーモアのセンスが光っていました。一方で難問の答えをドンピシャリで当てるシーンもあり、音楽オタクぶりをいかんなく発揮していましたね。ちなみに私がパッとすぐにわかったのは3問くらいかな…ぜーんぜん修行が足りません。ううう。

私も気づくのが遅かったので、聴取できる期間はあと約3日となっています。興味のある方はお早めにチェックしてみてください。"Listen Now"という単語の上のスピーカーボタンを押すと音声を聞くことができます。
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Martin Freeman Tiny Mix Tapes interview. - Part 3- [Music & Drama]

Tiny Mix Tapesという音楽情報サイトに掲載されたマーティン・フリーマンのインタビューPart 3です。これで終わります。ソウル・R&Bの他、ロックやヒップ・ホップについても歯に衣着せぬ発言をしています。ここまで言えたら、いっそ気持ちがいいですね。和訳は拙訳です。誤訳等お気づきの点があれば、コメント欄でお知らせください。

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Source: Martin Freeman (The Office [UK]): Interview

I: まだロックについて話していませんね。R&Bと同じくらいロックが好きですか?

M: ぼくは若い時、自分に縛りをかけていたんだな。ぼくはよくこう言ったもんだ、「白人のギタリストが多いバンドは好きじゃない」って。まぁ、真実からかけ離れているとは思わないけどね。そうは言ったものの、もし「現代のアメリカン・ロックで好きなバンドは?」と聞かれたら、4つは挙げられると思う。クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジなんていいよね。イギリスのバンドも少しは好きだよ。アメリカはたくさんの人が音楽を作っている最高の場所だけど、ぼくがその恩恵にあずかるには25歳ほど老けている。でももちろんそういう音楽を作っている人たちも25歳ほど老けているのに、彼らは18歳のふりをしてるんだ。「イエー、ブッシュひっこめ!」てな感じで。大人になれよ!ジョー・ストラマー[訳者注:イギリスのパンク・バンド、クラッシュの元ボーカリスト]じゃないんだぜ!いい加減にしろ!やめろ、いいからやめるんだ!髪を染めるのもやめとけ!

I: 現代のソウルはどうですか?古いのと同じように好きですか?

M: 答えはとっくにわかってるだろ?答えが予測可能なんて嫌だけど、まぁ答える必要もないか。ぼくが最後に買った現代のソウル・アルバムは、90年代半ばから後半にかけてのものだ。デ・アンジェロ、エリカ・バドゥ、アドリアナ・エヴァンスは好きだったな。みんないっしょくたに「ニュー・ソウル」なんて呼ばれてて、やな感じだったけど。R.ケリーば別にどうでもよかった、「おまえをあちこちなめまわして…」なんてわけわかんないよ。ぼくくらいの年齢になると、「別に好きじゃなくてもいいんだよな、無理やり好きになることもない。好きにはならないと思うけど、それはそれでオッケー」という境地に達するんだ。ヒップ・ホップも同じだった。ぼくらの年代の人間にとって、ヒップ・ホップは1992年で終わってる。初めてNWAのレコードを聞いたとき、「すっげー、最高じゃん!」て思ったよ。とにかくやらしくてさ。パブリック・エナミー・スクールからこっそり抜け出して、もっとワルなのを聴くような気分だった。でもそこから進歩がなくて、[パブリック・エナミーの]チャック・Dが時代遅れみたいに見られるようになった時、ちょっとがっかりしたんだ。「ちょっと待った、やつだって何か言おうとしてるんだよな。」考えてもみなよ、ぼくはギャングじゃない。ぼくが現代のヒップホップを好きになる理由なんてないんだ。ダニエル・ドレイク[訳者注:インド生まれのイギリス人フォーク・シンガー]が何か50セント[訳者注:アメリカのラップ・シンガー]のことを歌うのと同じくらい、僕には意味のないことなんだ。デ・ラ・ソウルやジャングル・ブラザースあたりはよかった。好きだったよ。でも[歌詞に]「あったりめーだよ」とか、性懲りもなく白いリムジンとか出てきたりすると、もうね…

I: 自分と共通項を見出すのは難しいですよね。

M: そうなんだよ!共通項を見出そうなんて、恐ろしいことだよね。考えを深めるとか、ディベートするとか、そういう風にならない。どんなことをしても金を手に入れるんだっていう風になっちゃうんだよ。ぼくはそんなもののファンじゃない。肌の色は関係ないよ。どんだけくだらないこと歌ってるんだよって思う。

I: コンピレーションアルバム“Made to Measure”について聞かせてください。このアルバムのほとんどの曲- "I Want You Back”や“Tears of a Clown”-は、大方のソウルファンにとってはおなじみの曲ですよね。みんながもうすでに持っているような曲をアルバムに入れた目的はなんですか?

M: ええと、それはそういう風に作ってって言われたから。それが一番の理由さ。まぁもう少しマイナーな曲を入れてもよかったかなとは思うけど、でもこれはこれで純粋にぼくの個人的な趣味を反映しているからね。もっと正直に言うと、ぼくは死ぬほど“I Want You Back”が好きなんだよ。この曲が最高じゃないなんて言わせない。ただ、多くの人がこういう曲を聞いているっていう話には異議ありだな。実際、多くの人は聞いたことないんだよ。現実をちゃんと見なよ、アルバムのジャケットに載ってるぼくの顔や名前に惹かれた人たちが、20年もノーザン・ソウルの7インチを買い続けてるわけないだろ?「ねえねえ見て、この人この間テレビに出てたよね。彼、こういうのが好きなんだぁ。ちょっと聞いてみようかな?」てな感じのはずさ。

I:そうすると、BBCのラジオショー“The Great Unknown”でDJをした時にアーティストを選んだ理由もそれと同じですか?あなたはあまり知られていないザ・バンドやザ・ステープル・シンガーズにスポットを当てると言っていましたが、私からすると特別マイナーなアーティストとは思えませんでしたが。

M: ぼくと君の間なら、まあそうだけどさ。でももし君のいとこやぼくのおば、君のおじさんやぼくの友達のお母さんのような人について話しているなら、彼らはぼくらほど音楽に入れこんじゃいないっていうことを忘れてるね。彼らは本当に興味ないんだ。別にブリットニー・スピアーズにケチをつける気はないけど、でも彼女がいくつもNo.1ヒットを出しているのに、ザ・バンドみたいなバンドが決してNo.1にならなかったことにはちゃんと理由があるんだ。すべてはラジオでどれだけオンエアされるかにかかってるんだよ。少なくともこの国では、全員がこの素晴らしいザ・バンドを聞いてるわけじゃない。音楽ファンだったら大体ザ・バンドを聞いたことがことがあるだろうけど、それでもせいぜい「ザ・ウェイト」[訳者注:ザ・バンドの最大のヒット曲]止まりさ。わかるだろ?彼らの他のアルバムなんて知りもしないんだよ。本当に知らないんだ。人類の大多数は音楽に対しては受け身で、やつらはただ携帯電話で音楽をダウンロードするだけ。音楽を知る努力なんてしやしない。12歳の子供にいたっては、知ったこっちゃないって感じだろ。[彼らにとって]音楽なんてほんの6か月前に発明されたものなんだ。もし50年代の音楽について語ったりしたら、聖書の時代の話かと思うだろうな。そういう人達に、ぼくの力で素晴らしいロバート・ジョンソン[訳者注:アメリカの著名なブルース・シンガー]の[レコードの]B面に興味を持たせることができるかっていうと、そんなことはできっこないと信じている。もちろんありえないさ。でもぼくたちは、ぼくらが知ってることを他の人たちは知らないんだってことも忘れてる。もし君が公務員で、アートにもメディアにも触れる機会がなかったら、人々は君の話がさっぱりわからないだろう。君の国のラジオでザ・バンドやステープル・シスターズがかかるのを聞いたことがある?ないだろ。断言してもいいよ。

I: 確かにそのとおりですね。「ザ・ウェイト」が流れることはありますが、かけるのはオールディーズ専門局だけです。

M: ぼくたちの国のラジオ局よりきっちり区別がされてるんだな。この国のラジオ局にはもうがっかりだよ。でもアメリカだと、主要なラジオ局は新しい曲に古い曲、黒人音楽に白人音楽、ロックにラップ、それらをミックスしてかけたりしないよね。だからぼくはこう言うんだ、「さあ、これから曲をを30分かけるから聞いてみて、ひょっとしたら気に入るかもしれないよ」って。それって、今までも人々がぼくや他のみんなのためにやってくれてたことなんだ。もし誰かが音楽を教えてくれなかったら、ぼくは今自分が好きな音楽のほとんどを知ることがなかっただろう。生まれる前から音楽のすべてを知っているなんてことはあり得ないんだからさ。

君は本当に素晴らしい公共の仕事をしてるんだよ(笑)。ぼくは自分のことをイギリスのガンジーだと思っている。それくらい重要な仕事なんだ。

I: 曲を初めて聞くとき、何で判断しますか?頭?心?それとも、その両方ですか?

M: 人によっては頭で聞くこともあるんだろうけど、ぼくの場合、最近の15年は頭では聞かないようにしているよ。頭で理解するっていうのは信用できないってことに気づいたんだ。知性に訴えるような音楽は好きじゃない。存在は理解できるよ。それは別にいいんだ。学生時代、ぼくの周りにはモリッシー[訳者注:イギリスのロック・シンガーで、ザ・スミスの元ボーカリスト]ファンが多かったけど、ぼくはそれほどでもなかった。要は、「ぼくのお尻が揺さぶられるか?」ってことさ。もっと言えば、「部屋にこもってその曲を一晩中聴きつづけたいか?」ってこと。頭脳っていうのは、舞台、映画、音楽、その他もろもろのアートに影響を及ぼす一番危険な臓器なんだ。頭がいいっていうのは別に悪い事じゃない。ばかのまんまで本を読むよりはましだろう。でもそこに心や、いわゆる魂っていうものがなければ、まったく意味がない。それは音楽のセンスとは無関係だ。モーツァルトには魂がある。ぼくが思うに、ビートルズにも魂がある。肌の色は関係ないよ。ぼくはただ知りたいんだ、「君は本気なのか?」ってことを。わかるだろ?「それ、マジで言ってんだろうな?」ってこと。その音楽は君の肌の下に染み込んで、君の胃袋をぐらぐらと揺さぶってくれるかい?

I: あなたの人生は、その哲学がベースになっているんですね。

M: そうであるようにいつも努力してるよ。ぼくは演劇学校に通っていた頃に、自分がレコードを判断してたのと同じ方法で、自分のやることや自分のいる業界のことを判断するって決めたんだ。決して頭で判断したことはない。本当だよ。

I: 頭よりも、お腹に導かれてきたっていうことですね?

M: そうそうそう。そうでなくっちゃ。知的な音楽には本当に興味がない。ぼくの場合、エルビス・プレスリーに接するようにレオナード・コーエン[訳者注:カナダのシンガー・ソングライター]に接することはない。もし自分が45歳だったら、レオナード・コーエンを聞いて「えっ、これって最高じゃね?」って思うかもしれないけど。音楽には、それを知るのにふさわしい時がある。ぼくが18の頃にヴァン・モリソン[訳者注:アイルランドのロック・シンガー]を聞いてたら、多分ひでえなって感じただろう。音楽を聴くには、それ相応の準備期間が必要なんだ。レオナード・コーエンはそうひどくはないよ、でもぼくには訴えかけない。主観的なんだけど、それが音楽の美しさなんだ。君が何を知っているかとか、何を考えているかとか、そういうことは関係ない。君の好きな音楽を聴いて、「そんなのクソだ」っていうやつはどこにでもいるんだよ。[そう言われたら]君はなんて言い返す?何も言えないだろ!ぼくにはボノ[訳者注:アイルランドのロックバンド・U2のボーカリスト]が好きな奴に「ボノはバカ野郎だ」って言って、それを信じさせることなんてできない。彼らはボノが最高だと思っている。好きにすれば?いいんじゃない。ぼくには関係ないし、他に言いようがない。もし誰かがぼくをいじめようとしたり、ぼくの好きなアーティストのことをクソだって言っても、ぼくは「ほっといてくれ。[俺はそのレコードが好きなんだから、そのまま]好きでいさせてくれ。君にに迷惑かけやしないよ。」ぼくの親友はぼくが大嫌いなレコードが好きで、その逆もまた然りだ。だからって、ぼくが彼らを嫌いだってことにはならないんだよ。

I: でもそのお友達は、あなたの家にレコードを持っていけませんね。
M:  (笑)そうだね。家に来るならいつでも歓迎するけど、ぼくの家ではかけさせないよ。

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いやー、本当にいいこと言ってますね。特に曲を頭でなく心で判断する、のくだり。私にはモリッシーは心に訴えかけてくるので、そこだけ見解に相違がありますが。でも読んでいてとても気持ちがよかったです。親近感がわきすぎて大変…。忙しいのは重々承知ですが、もっと音楽番組にも出て欲しいな。
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Martin Freeman Tiny Mix Tapes interview. - Part 2- [Music & Drama]

Tiny Mix Tapesという音楽情報サイトに掲載されたマーティン・フリーマンのインタビューPart 2です。レコードへの愛はとどまることを知りません。私は何とかついていけましたが、みなさんはいかがでしょうか。和訳は拙訳です。誤訳等お気づきの点があれば、コメント欄でお知らせください。

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Source: Martin Freeman (The Office [UK]): Interview

I: 数が少なくて、レコードで探すのが難しいものに興味がありますか、それとも音がよければいいですか?

M: そりゃ音がいい方がいいよ。でも、希少なものを見つけて、それが本当に本当に自分の欲しいものだったら、2倍も3倍も素晴らしいよね。ホント、最高に楽しいよ。70年代初頭にシリータ[訳者注:アメリカのソウル・シンガー]がスティービー・ワンダーと一緒に録音したレコードで、“To Know You Is To Love You,”ていうのがある。僕はその曲が収録されているータウンのヒット・コンピレーションを持ってるんだけど、でもずっと7インチ[訳者注:シングル盤レコードの意]で欲しかったんだ。10年前にヨークシャーの劇場で仕事してた時、地元のレコード屋に行った。そしたら、その7インチを2.5ポンドで売ってたんだぜ!「おいおいマジかよ!」て思った。あんまり興奮しすぎて、文字どおりひいひい言いながらその店を離れたよ。ホントもう泣くかと思った。だってシリータのオリジナルの7インチが2.5ポンドだぜ?すごい希少なレコードじゃないけどさ、ぼくはずっとその7インチを探してたんだよ。
(中略)
I: あなたにとって、言うなれば白鯨のような、人生をかけてずっと探しているけど今も見つからないレコードはありますか?

M: うん、あるよ。シリータのファースト・アルバムで、スティービー[・ワンダー]がプロデュースして曲も一緒に書いたやつ。1972年に発売されたもので、セルフ・タイトル[訳者注: レコードのタイトル=自分の名前]なんだ。74年に発売された素晴らしいセカンド・アルバム「Stevie Wonder Presents Syreeta」は持ってるんだけど、ファーストがどうしても見つからない。ビートルズの「シーズ・リービング・ホーム」のカバーやその他いろいろ収録されている。70年代初頭で、スティービーがモーグ[訳者注:モーグシンセサイザーの意]に入れ込んでて、アコースティックなのに交響曲っぽいソウルをやってたころさ。レコード屋に行くたびにみんな「それならすぐに見つかると思うよ」って言うんだ。でも、レコード屋ではただの一度も見たことがない。ちょっと前に友達が1枚手に入れてね、ぼくのところに持ってきて聴かせてくれたんだ。最高ってわけじゃなかったけど、でもやっぱり今でも欲しい。ぼくはあきらめないよ。いつか自分で見つけるんだ。(もし見つかったら)クリスマスみたいな気分になるだろうね。

I: 私はレコードをぴっちりプラスティックで巻いて、棚に入れたまま2度と聴かないというレコード・コレクターをたくさん知ってます。そのことにあなたは納得がいきますか、それともレコードを博物館の展示品みたいに扱うのには間違ってると思いますか?

M: ぼくにはできないな。それってカタログナンバーでレコードを買うようなものじゃないか。レコードは聴かれてなんぼだよ。もしシェイクスピアを棚に並べてるんなら、読めっつーの。レコードは神聖なものだけど、取りだして感謝されるべきものなんだ。

I: ケニー・バーレルという人が、フランク・ウィルソン[訳者注:モータウン・レコードの敏腕プロデューサー]の“Do I Love You (Indeed I Do).”[訳者注:サンプル盤が作られたが、正式に発売されなかった作品]のオリジナルの45インチ[レコード]を26,483ドルで買ったと聞きました。あなたは同じレコードにそれだけのお金を払いますか?

M: いいや。ぼくは自分の持っている“Do I Love You.”で十分。リイシューだけど、全然問題ないよ。そんなにお気に入りのソウル・レコードじゃないしね。好きだけど、オリジナルを手に入れるためにそこまで苦労しようとは思わない。別にフランク・ウィルソンの45インチにそれだけ払う人がいても驚かないよ。多くの人が“Do I Love You”を究極のノーザン・ソウルだと思ってる。コレクターの間では、聖杯の一つだから。君がどれだけイギリスのノーザン・ソウルとそれを取りまく状況を知ってるかは知らないけど。もう宗教と一緒だよ。

I: あなたの言うノーザン[・ソウル]とはサザン・ソウルの逆ということですか?デトロイトのヒット製造メーカーモータウン対ウィルソン・ピケットとオーティス・レディング擁するスタックス・レコードみたいな?

M: いやいやいや。イギリスでは、ノーザン・ソウルってそういう意味じゃないんだよ。アメリカでソウルを生み出した人たちとは全然関係ない。僕たちがノーザン・ソウルと言う場合、それは60年代と70年代のイングランンド北部で育ったサブカルチャーと、それにまつわる生き方全般のことを指すんだ。言うなれば、退屈したワーキングクラスの連中が週末に乱痴気騒ぎをしたって感じ?ドラッグはやらないけど、クラブに行って踊りまくるんだ。今となっては北部だけじゃないけど、ともかくそれは40年もこの国に巣くっている大きな、本当に大きなサブカルチャーなんだ。ぼくらがノーザン・ソウルについて話す場合、とにかくある種のモータウンやR&Bを死ぬほど愛しているやつらのことを言う。もし君が直接関わったことがないなら、こいつらどうかしてるんじゃないかと思うだろう。ホント、イカれているからね。でも、自分がその一部じゃなくても、気持ちがわかるとこもある。本物のノーザン・ソウル狂にとって、1975年以降のレコードが好きだなんて許されないんだ。ぼくは「Four to the Floor」[訳者注:70年代のダンス・ミュージックでよく使われたリズムパターン。ドラムの4つ打ち]を一晩中聴くよりは、いろいろな音楽を聴きたい方だけど、彼らのあり方も好きだよ。音楽とはそれほど重要なものであるべきだ。

I: それはなぜ人が音楽に惹かれるのか、その理由の大きな部分を占めると思いませんか?あるスタイルや音楽のジャンルを楽しむことで、もっと大きなコミュニティに属しているように感じられますからね。

M: そのとおり。時々息苦しくなる時もあるけどね。誰かとすれちがった時に彼のはいてるパンツを見て、「あ、こいつ俺と同じ音楽が好きなんだ」って思うのはいいよ。でも、それですべてを決めつけられると「うん?それって俺はザ・バンド[訳者注:70年代に活躍したアメリカのロックバンド]を聴いちゃダメってこと?」と思っちゃうんだ。「彼は俺の仲間になれる」から「これってめちゃくちゃ息苦しいな」に簡単に変わるんだよ。自分の聴く音楽や聴いてみたい音楽に制限をかけたとたん、あっという間に悪い道に転げ落ちるって思うんだ。

I: 以前インタビューで「カトリックを感じる音楽」が好きだと言っていましたね。具体的に教えてください。

M: カトリックは言葉のセンスの問題で、幅広いとか普遍的なっていう意味で使ったんだ。すべてのものを好きだなんて言いたくないよね、それって多くのくっだらないものも好きってことだから。でもジャンルに限って言えば、ぼくは自分に制限をかけたくない。ぼくは「俺はフォークなんて好きじゃない」っていう人間にはなりたくないんだ。この国では、あまりジャズを好まない人がたくさんいる。特定の誰かをというわけじゃなくて、もうジャンル全体をね。「ジャズ?うわー、最悪じゃん」てな感じ。でもぼくに言わせると「俺はクラシック嫌いだ、ベートーベンなんてクソだぜ」って言ってるのと同じだよ。ある種のジャズが小難しいのはぼくにもわかる。抑揚のないCスケールが10分も続くやつなんて、みんながみんな、いつまでも聴きたいとは思わないよね。でも、ジャズってそれだけじゃないよ。以前リッキー・ジャーベイス[訳者注:イギリスの脚本家で、『The Office』の演出と脚本も手がけた]とその話をしたことがあるんだけど、彼はぼくにジャズが好きなふりをしてるんだろって言ったんだ。いや、まさか、絶対そんなことないよ。でもだからってロックと同じくらいジャズが好きってことにはならないだろ。

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なんというか、どこまでいっちゃうんでしょう、この人(苦笑)。だてにLPレコード数千枚持っているわけじゃないですね。ちなみにノーザン・ソウルについては、イギリスの刑事ドラマ『孤高の警部ジョージ・ジェントリー』の「ノーザン・ソウルの夜に」という回を観ると雰囲気がよくわかります。ほぼマーティンの言葉どおりに再現されていてうなりました。えーと、あともう1回くらい続きますので、しばしお待ちを。
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Martin Freeman Tiny Mix Tapes interview. - Part 1- [Music & Drama]

1ヶ月以上のごぶさたですみません。前にベネディクト・カンバーバッチの音楽趣味(Top 10 itunes)を紹介しましたが、今回はマーティン・フリーマンの音楽趣味を取り上げます。Tiny Mix Tapesという音楽情報サイトに掲載された2007年のインタビューです。ファンの方はマーティンが無類の音楽好き(特にR&B、モータウン)であることをご存知かと思いますが、このインタビューでは彼の音楽への深い愛を感じることができます。最近いくつかインタビューの和訳をしていますが、これが訳していて一番楽しかったです。長くて大変でしたけど、やり終えたときの充実感は言葉では言い表せませんでした。と言うことで、ゆっくりとお楽しみください。誤訳等お気づきの点があれば、コメント欄でお知らせください。本当に長いンタビューなので、何回かに分けます。

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Source: Martin Freeman (The Office [UK]): Interview

マーティン・フリーマンは、少なくともこの国ではThe Officeというテレビドラマに出演していることで広く知られている。あなたも名前を聞いたことがあるかもしれない。The Officeは2001年にイギリスで放送され、数年後にBBCアメリカで放送された。フリーマンはWernham Hogg製紙会社のセールスマンで、不運にもある男性と婚約した受付嬢に好意を寄せるティム役を演じている。

その後彼は複数の映画に出演している。『銀河ヒッチハイクガイド』、今後公開される『Breaking & Entering』、そして『The Good Night』だ。そういった華やかさの陰に隠れてはいるが、実は彼は古いR&Bやソウル・ミュージックの専門家として知る人ぞ知る存在である。モータウン・レコードは、Made to Measureというコンピレーションシリーズのために、彼に好きな曲を20曲選ぶよう依頼した。彼はまた、BBC Radio 2のThe Great Unknownというラジオ番組のセミレギュラーも務めている。その番組で彼がかける音楽は、彼が「過小評価されていて、普段あまりラジオでかからない」と感じる曲たちだ。

フリーマンはイギリスのさる場所にある彼の自宅から、電話でインタビューに応じてくれた。Officeで一躍人気者になった彼だが、今回は何度も驚かされた。特に彼は興奮すると、"fuck"という言葉をタランティーノの映画の登場人物よりも多く発する傾向があったのだ。

Interview(以下I): 大人になってから、友達やガールフレンドのためにお気に入りの曲を入れたミックス・テープを作りましたか?

Martin(以下M): うん、作った作った。今も作るよ。もうテープじゃないけどね。つい最近までテープで作ってたんだけど、今はみんながやっているようにCDで作るようになった。でもコンピレーションを作るのはとっても好きだ、ホントに。女性と知り合うと、テスト代りに最初に作るんだよ。「このテープにどんな反応するかな」って。ぼくは以前は自分の趣味を押しつけるのにとりつかれていた。これをやることで、彼女が逃げるかどうか計っていたんだな。「もし彼らの曲が好きならやっていけると思うし、もしそうじゃなかったら、長続きしないかも」と思っていた。
(中略)
I: ミックス・テープを作る時は、曲はランダムに選ぶんですか、それともあるテーマに沿って選んだり、うまく言葉では表現できない感情や感傷を表現してくれる曲を選んだりするんですか?

M: 両方を少しづつかな。テーマにそったミックス・テープ作りに挑戦するのは好きだ。場所や地名を歌った曲だけを集めたことはあるよ。都市名とか国名とか、そんなやつ。でも真面目に取りくむとすぐ飽きてしまう。場所の名前で作ろうとしたけど、30分でギブアップしたよ。ぼくには合ってなかったんだな。歌詞に街の名前が入っているというだけで、自分が普段好きでもない曲を選ぼうとしたからだろう。ぼくのテープ作りのルールはよくかみ合う曲を選ぶことだ。もし誰かのために作るとしたら、最低でも2,3曲は彼らが知らない曲を入れるようにする。でもあんまり耳慣れない曲でもいけない。甘さが必要なんだ、わかるよね?砂糖が必要なんだよ。人々は新しい曲をあまり聞かない時がある。たとえて言えば、誰かのコンサートを見に行った時、観客はヒット曲を期待しているのに、哀れにもアーティストが新作のアルバムから何曲か演奏しようとするようなものだ。みんな「そんなのやめろ、ヒット曲をやれ!」って言うんだぜ。テープを作る時って、普通は誰かに作ってくれって頼まれるよね?「あ、その曲持ってるの?ダビングしてくれない?」てな感じでさ。だからぼくはテープを作って、そこにちょっとだけ他のを混ぜる。相手が聴きたいと思っている曲と、押しつけかもしれないけどもしかしたら聴きたくなるかもしれない曲を少し混ぜるんだ。それがうまくいく時もあるし、そうはいかない時もあるけどね。

I: そうは言っても、あなたは親しい人たちと共有する音楽にはとても注意を払っていますよね?そこにはどんな意味があるんですか?

M: 全くその通りだよ。共鳴みたいなもので、そんなに違いはないのかもしれないけど、ぼくが誰かのためにミックス・テープを作る時、そこに自分の気持ちが入ってないようなら、「これはいかん」と思う。もし本当に、本当にわくわくしながらミックス・テープを作っていれば - まぁ全くの見当違いかもしれないけど - 聞いた人たちが「こりゃすごい!」って思うはずなんだ。演技と同じだよ。演技をして、それがとても気持ちよくて、自分の持てるものすべてを出すことができたら、それは観客に伝わるもんなんだよ。その瞬間は、本物の工芸品と同じくらいの価値がある。
(中略)
I: あなたは膨大なレコード・コレクションを持っていますね。レコードからCDに移行しましたか、それともこれからもずっとレコード派ですか?

M: ぼくはいつまでもレコード派さ。レコードを買い始めたのは9歳か10歳のころだ。ポケットに入ってたお金を全部はたいて、シングル盤を買ったりしたものさ。10代半ばになってCDが出てきたけど、別にアナログの方がデジタルよりいいって思ってたわけじゃない。単に貧乏で、CDは高すぎただけだ。レコードを買い続けるってことは、ぼくには大事なことだった。それが自分の美学だとわかったのは後のことで、お金には余裕ができたけど結局レコードにこだわることに決めた時だ。CDを買って楽しかったことなんてないよ。CDで持っていたら、[同じ]レコードを買うとは思わないけど。ダウンロードなんてもっとひどいね。プラスティックの盤にならなくちゃ、音楽を手に入れたことにはならない。デジタルなんてものは、数のうちに入らないんだよ。精神論かもしれないけど、僕はそう思っている。病気だな。

I: お気持ちはわかります。僕は70年代の[ローリング・]ストーンズやエルトン・ジョンのレコードが好きなんです。ブックレットやポストカードがついていて、とても精巧に作られたアートでしたよね。曲だけじゃなくて、パッケージ丸ごとにお金を払っている感じでした。

M: そうそう、そうなんだよ。作品を見て、触れて、それに込められた努力と愛を胸一杯に吸い込むべきなんだ。そうすれば素晴らしい経験をすることができるよ。それは間違いなくぼくにとっては真実だ、なぜならぼくが好きな音楽の70%はアナログだから。もしいい盤を手に入れたら、それは聴くべきものだ。明らかに傷がついているレコードを聞けば、そりゃCDの方がいいと思うだろう。でも、CDはレコードとは比べ物にならない。今は年食ってお金もあるから、そういうレコードを買ったりできる。精神の領域に入っちゃうけど、それでも好きなんだ。「このレコードはもう持ってるけど、でもリイシューなんだよなぁ、なんかイヤだ。やっぱりオリジナルを手に入れなくちゃ」とか、そういうことを考えるのが好きなんだよ。オリジナルの盤て、普通は重みがあって、よりきれいな音がして、ノイズが入っている。アレサ・フランクリンの曲を聴いてごらん、デジタルをふくめて他のどのフォーマットよりも美しく聴こえるから。でも針のあたる音が聞こえちゃうこともあるんだよな。少なくとも僕の耳には、余韻となって残るんだけどね。レコードを手に持つと、すごい重みを感じるよ。それからアトランティック・レコードの赤とプラム色の円を見下ろして、それがただくるくる回るのを見つめるんだ。それがさ…(笑)なんていうか、それをやるのがぼくは死ぬほど好きなんだよ。新しいレコードを手に入れた時が至福の時さ。

I: 一番最近聴いたレコードは?

M: ああ、今ぼくのレコード・プレーヤー壊れてるんだ、だからすっごくいらいらしてる。ついこの間買ったレコードが大量にあるんだけど、まーだ聴いてないんだ。落ち込むどころの話じゃないよ。 そりゃ家にはCDもipodもあるから、音楽には不自由しないけど。でも同じじゃない。2階の部屋に一人で座って、レコードを一晩中次々とかける習慣が恋しいよ。

I: レコードを買うとき、何を買うかどうやって決めるんですか?ソウルやR&Bセクションに直行しますか、それとも店を歩き回って何かが自分のアンテナに引っかかるまで待つんですか?

M: もし知らない街でレコード屋に立ち寄ったら、だいたい60年代・70年代のソウルコーナーに行く。ま、その辺だけを買うわけじゃないけど。探索を始めるにはうってつけってことだよ。他のことでも言えるんだけど、何かについてより深く知ったら、それをきっかけに音楽の迷宮に入り込みたくなるものなんだ。ぼくがまだ若かったころ、レコードを見つめては「このカバーの男はイカしたアフロだな。サイコーに違いない」なんて思ったもんだ。でも今は、もっと細かいところにこだわるんだ。レーベルとかプロデューサーとか[参加している]スタジオミュージシャンとか。欲しいものが決まっててレコード屋に行く日もあるし、何も考えてない日もある。で、何かを見つける。知る。そして考える。「ああ、これが欲しい。」って。

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いやもうすごいですね。精神論入ってます。まさにイギリスのレコスケ。でもうなずけることもいっぱいあります。私も昔マーティンが作ったようなミックス・テープをくれた知人がいたっけなぁ。まだまだレコード愛が続きますが、次回以降のエントリーにて。
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Top 10 Tunes by Benedict Cumberbatch (6-10) - Two Paddocks.- [Music & Drama]

Two Paddocksというワイナリーのサイトに掲載されている著名人のTop 10 Tunes。ベネディクト・カンバーバッチのTop 10 Tunesの後半5曲を和訳しました(サム・ニール氏より翻訳許可をいただいたので、全文掲載します)。ただし、難易度が高いところがありましたので、今一つ自信のないところは赤字にしました。誤訳等お気づきの点があれば、コメント欄でお知らせください。なお、タイトルをクリックするとYoutubeで音声を聞くことができます。

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Top 10 Tunes by Benedict Cumberbatch(原文)

6.How to Disappear Completely/ハウ・トゥ・ディサピア・コンプリートリー - Radiohead/レディオヘッド

どうして過去の名曲群をさしおいてこの曲を選ぶのかというと、とても個人的な理由からなんだ。どんな時に人生最良の時と最悪の時が隣り合わせになるのかを思い出させてくれる曲だ。南アフリカでBBCのミニシリーズ「地球の終わり」を撮影した時、僕は初めて土地を所有する者に出会った。僕はその時仕事で最高の時を過ごし、週末に他の出演者2名と一緒にスキューバ・ダイビングを習いにいった-最良の時だ。その後僕たちの車の右の前輪タイヤが破裂してしまったので車を片側に寄せたところ、茂みから出てきた男たちに囲まれて車を占領された-これが最悪の時。話せば長くなるけど(その試練は2.5時間くらい続いたんだ)、でもこの曲を選んだ本質の部分について言うと、タイヤが破裂する直前にかかっていたのがこの曲で、服を整えながら自分がこの上なく幸せだということについて考えていた時だったんだ。次に聞いたのは、助手席に座っていた人の膝の上で車のフロントガラスに押し付けられ、僕の背中と頭がフロントガラスに当たった時だ。車が動き始めて、道路からはずれた。僕のお尻がカーステレオのスイッチを押すと、トム・ヨークの声が僕を死へといざなうように流れてきた。僕が振り向くと、車は砂地ではずみ、ヘッドライトがサトウキビ畑を通過していることを示していた。そして僕は考え続けた、映画『カジノ』で登場人物が掘っていた浅い墓のことを。そしてけだるさをまとった内省の天才T・ヨーク氏が、「僕はここにはいない…こんなことは起こらない…」と歌っていた。結局僕たちは全員生き延びた。

7.Prelude to Tristan and Isolde /トリスタンとイゾルデ序曲 - Richard Wagner/リヒャルト・ワーグナー

そう、オペラのレパートリーの中では最高の1曲として広く知られている。特筆すべきはワーグナーが先行して使った半音階主義、調性、オーケストラのカラー、ハーモニック・サスペンション...とにかく僕の後ろ髪を逆立たせるほどだ。ベートーベン、モーツアルト、シュトラウスとラフマニノフのベストの曲を思い出させる。一里塚であり、衝撃波でもある。僕が今擦り切れるほど聞いているのは、BBC交響楽団の録音版。


8.Hyperballad/ハイパーバラッド-Bjork/ ビョーク

待てよ、[ジョニ・]ミッチェル、[ジャニス・]ジョップリン、エラ[・フィッツジェラルド]、ティナ[・ターナー][訳者注:全員著名な女性アーティスト]もいるね…おっと、もう1枚別のリストが必要だな。[ここまでで僕が選んだのは]全部白人で男ばかりだ…!我ながらひどい。でもこれは美しい曲だ。ダンス・ミュージックが好まれた時期だから、[チャートの]トップテンには入らなかったけれど。

9.Superstition/スーパースティション - Stevie Wonder/スティービー・ワンダー

僕が踊った、または踊ってないに関わらず、結婚式を挙げた人たちへ!達人が高みからパワーを降り注ぎ、そこから素晴らしいグルーブが生まれるんだ。SWのかっこよさをすべて教えてくれたマーティン・フリーマンに感謝するよ。

10.We Grew Up At Midnight - The Maccabees/マカビーズ

最近出たアルバムでよく聴いているのが 『The Maccabees Into the Wild』だ。1曲選ぶのはとても大変な作業だが、タイプしている時に「We Grew Up At Midnight」を聴くととても気持ちが高揚する。このことこそ、偉大な音楽が他のアートを超越する証拠だと思わないか?この企画、とても楽しいね。明日もやっていい?

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レディオヘッドの曲で出てくる話は、ベネディクトがインタビューでも折に触れていますね。しかしその状況でその曲が流れてくるとは…。本当に無事でよかったです。ベネディクトにスティービー・ワンダーをいろいろ教えたのは、マーティンだったんですね。さすが名うてのモータウンマニア。二人が音楽の話をしているところ、部屋の隅っこでいいですから聞いてみたい…!後、結構クラシックも好きなんだ。私はクラシックはあまり得意ではないので、ベネディクトのおすすめを少しづつ聞いてみようと思います。

このTop 10 Tunes、とても素敵な企画ですね。時間があれば他の人のも読みたいです。
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Top 10 Tunes by Benedict Cumberbatch (1-5) - Two Paddocks.- [Music & Drama]

ニュージーランドやハリウッドで活躍している俳優Sam Neill(以下サム・ニール)。彼はニュージーランドでTwo Paddocksというワイナリーを経営しています。ある時スタッフたちに、剪定のような単純作業をする時に聴きたい曲10曲を挙げてもらい、Top 10 Tunesを作り始めたそうです。そのうちワイナリーを訪れる各界著名人にも頼むようになり、今は彼らのTop 10 Tunesをサイトで公開しています。その中にベネディクト・カンバーバッチのTop 10 Tunesがありましたので、拙訳付きで2回に分けて紹介します(サム・ニール氏より翻訳許可をいただいたので、全文掲載します)。ただし、難易度が高いところがありましたので、今一つ自信のないところは赤字にしました。誤訳等お気づきの点があれば、コメント欄でお知らせください。なお、タイトルをクリックするとYoutubeで音声を聞くことができます。

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Top 10 Tunes by Benedict Cumberbatch(原文)

1.Sweet Thing/スウィート・シング - Van Morrison/ヴァン・モリソン (アルバム『the Astral Weeks/アストラル・ウィーク』収録)
(*1)リーアム・ニーソン[riek注:北アイルランド出身の俳優]も僕もこのアルバム全曲に価値があると思う。[ヴァン・モリソンが]歌うときはいつでも、曲はすべてスウィングし、魂を持ち、この男のジャズ風なボーカルスタイルがつむぐ詩心と一つになる。でもスウィート・シングの音風景と歌詞が紡ぐのは、愛した女性のことをあきらめられない男の甘くてほろ苦い物語なんだ。

この曲はパーフェクトの一言につきる。ティーンエイジャーのころに出会ったんだけど、僕はこの音楽のように自分に影響を与える人生経験を求めていた。そして30を過ぎた今、古傷が再び疼くことがあっても、僕は涙をこらえなくてはならない。だがこの曲は、自己憐憫を許し、悲しみに打ちひしがれることを許してくれる。美しい。人を愛し、そして失った経験のあるすべての人へ。

(*1)冒頭の"Though"がうまくつながらないのですが、リーアム・ニーソンがヴァン・モリソンの曲を朗読でカバーしているので、肯定的に訳してみました。

2.I Am the Resurrection/アイ・アム・ザ・レザレクション Fools Gold/フールズ・ゴールド - The Stone Roses/ザ・ストーン・ローゼズ
もちろん[1曲のところ2曲挙げているのは]わかっている、でもこの2曲はアルバムの中で連続していて、分かつことができないほど素晴らしいんだ。[この曲が流行った当時]僕はマンチェスター大学に通っていた。やんちゃマンチェっ子たち、そして彼らが奏でるマッドチェスター[riek注:マンチェスターで生まれた音楽の1ジャンル]を発見した時、ほんの少しだけど狂ったようなノスタルジアの洪水に見舞われたものさ!ハッピー・マンデーズにジョイ・ディヴィジョン、そしてトニー・ウィルソン率いたファクトリー・レコード傘下のすべてのバンドたちに祝福あれ。

3.You Can't Always Get What You Want//ユー・キャント・オールウェイズ・ゲット・ホワット・ユー・ウォント - The Rolling Stones/ザ・ローリング・ストーンズ
この曲を初めて聴いたのはハロウ校にいた頃で、まだとても若かった。ポッシュな寄宿学校だったから、大した経験がなくとも何でもできる、または何かが手に入るように思えた。しかし、青年期に身近に女性がいなかったり、校外で自由に生活できなかったりすると、忍耐を象徴するこの賛歌がとても心に響くんだ。最初のコーラスから終りまで、とてつもなくファンキーでソウルフルで、心が舞い上がるようだ。フロントマンになるということの意味を考えさせられたのは言うまでもない。

4.Young Americans/ヤング・アメリカン - David Bowie/デヴィッド・ボウイ
1曲なんて選べない!"Sorrow"は僕のカラオケの十八番なんだ。でもこのグルーブと、歌詞の中の壊れたイメージが織り成す暗黒のパッチワーク、サックスソロ、そしてドラムが素晴らしい。

5.月の光/Clair de Lune - Claude Debussey/クロウド・ドビュッシー
ジェームズ・ローズ[riek注:イギリス出身のピアニスト]のアルバム『Bullets and Lullabies』 に収録されているバージョンがベストだけど、Youtubeには上がっていない。この曲は、生きているうちに一度は習いたい曲のひとつだ。僕は良き友人のジェームズ・ローズが演奏するのを聴ければ満足だけどね。追伸:彼の曲こそ純粋なるロックンロールなんだから、自分のプレイリストに早く入れるべきだよ。感動という言葉以上のものを持っているんだ。
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ベネディクト、本当に音楽好きなんですね。私の知っている曲がたくさん入っていて、すごくうれしいです。特にストーン・ローゼズの最後の方のコメント…泣いていいですか?うわーーーーーん!(号泣)マッドチェスター好きな人はきっと胸が締め付けられることでしょう。ストーン・ローゼズ、後2週間で来日します。ソニックマニアに出演します!ずいぶん長いことファンだったのですが、ライブ観るのは初めてなんです。再結成までの日々がどれほど長かったことか…今から胸いっぱいでどうしよう。復習、復習。

後、「月の光」もいいですね。そうか、ドビュッシー、じゃなくて、ジェームズ・ローズがロックン・ロールか。勘違いですみません。もっと聴いてみたいです。

【7/29追記】ローリング・ストーンズのYoutubeオフィシャルに3.があったので、リンクしました。1990年のライブです。ボーカルのミック・ジャガーは現在69歳ですが、先月世界最大級の音楽フェスティバル・グラストンベリー・フェスティバルでトリを務め、13万5千人の観客を前に2時間超のライブをこなしました。声のつやとか体の動きが、この映像とあまり変わらない感じがするのが恐ろしいです。ロック親父万歳。

残り5曲は次回以降のエントリーに続きます。
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