SSブログ

Martin Freeman Tiny Mix Tapes interview. - Part 1- [Music & Drama]

1ヶ月以上のごぶさたですみません。前にベネディクト・カンバーバッチの音楽趣味(Top 10 itunes)を紹介しましたが、今回はマーティン・フリーマンの音楽趣味を取り上げます。Tiny Mix Tapesという音楽情報サイトに掲載された2007年のインタビューです。ファンの方はマーティンが無類の音楽好き(特にR&B、モータウン)であることをご存知かと思いますが、このインタビューでは彼の音楽への深い愛を感じることができます。最近いくつかインタビューの和訳をしていますが、これが訳していて一番楽しかったです。長くて大変でしたけど、やり終えたときの充実感は言葉では言い表せませんでした。と言うことで、ゆっくりとお楽しみください。誤訳等お気づきの点があれば、コメント欄でお知らせください。本当に長いンタビューなので、何回かに分けます。

--------------------
Source: Martin Freeman (The Office [UK]): Interview

マーティン・フリーマンは、少なくともこの国ではThe Officeというテレビドラマに出演していることで広く知られている。あなたも名前を聞いたことがあるかもしれない。The Officeは2001年にイギリスで放送され、数年後にBBCアメリカで放送された。フリーマンはWernham Hogg製紙会社のセールスマンで、不運にもある男性と婚約した受付嬢に好意を寄せるティム役を演じている。

その後彼は複数の映画に出演している。『銀河ヒッチハイクガイド』、今後公開される『Breaking & Entering』、そして『The Good Night』だ。そういった華やかさの陰に隠れてはいるが、実は彼は古いR&Bやソウル・ミュージックの専門家として知る人ぞ知る存在である。モータウン・レコードは、Made to Measureというコンピレーションシリーズのために、彼に好きな曲を20曲選ぶよう依頼した。彼はまた、BBC Radio 2のThe Great Unknownというラジオ番組のセミレギュラーも務めている。その番組で彼がかける音楽は、彼が「過小評価されていて、普段あまりラジオでかからない」と感じる曲たちだ。

フリーマンはイギリスのさる場所にある彼の自宅から、電話でインタビューに応じてくれた。Officeで一躍人気者になった彼だが、今回は何度も驚かされた。特に彼は興奮すると、"fuck"という言葉をタランティーノの映画の登場人物よりも多く発する傾向があったのだ。

Interview(以下I): 大人になってから、友達やガールフレンドのためにお気に入りの曲を入れたミックス・テープを作りましたか?

Martin(以下M): うん、作った作った。今も作るよ。もうテープじゃないけどね。つい最近までテープで作ってたんだけど、今はみんながやっているようにCDで作るようになった。でもコンピレーションを作るのはとっても好きだ、ホントに。女性と知り合うと、テスト代りに最初に作るんだよ。「このテープにどんな反応するかな」って。ぼくは以前は自分の趣味を押しつけるのにとりつかれていた。これをやることで、彼女が逃げるかどうか計っていたんだな。「もし彼らの曲が好きならやっていけると思うし、もしそうじゃなかったら、長続きしないかも」と思っていた。
(中略)
I: ミックス・テープを作る時は、曲はランダムに選ぶんですか、それともあるテーマに沿って選んだり、うまく言葉では表現できない感情や感傷を表現してくれる曲を選んだりするんですか?

M: 両方を少しづつかな。テーマにそったミックス・テープ作りに挑戦するのは好きだ。場所や地名を歌った曲だけを集めたことはあるよ。都市名とか国名とか、そんなやつ。でも真面目に取りくむとすぐ飽きてしまう。場所の名前で作ろうとしたけど、30分でギブアップしたよ。ぼくには合ってなかったんだな。歌詞に街の名前が入っているというだけで、自分が普段好きでもない曲を選ぼうとしたからだろう。ぼくのテープ作りのルールはよくかみ合う曲を選ぶことだ。もし誰かのために作るとしたら、最低でも2,3曲は彼らが知らない曲を入れるようにする。でもあんまり耳慣れない曲でもいけない。甘さが必要なんだ、わかるよね?砂糖が必要なんだよ。人々は新しい曲をあまり聞かない時がある。たとえて言えば、誰かのコンサートを見に行った時、観客はヒット曲を期待しているのに、哀れにもアーティストが新作のアルバムから何曲か演奏しようとするようなものだ。みんな「そんなのやめろ、ヒット曲をやれ!」って言うんだぜ。テープを作る時って、普通は誰かに作ってくれって頼まれるよね?「あ、その曲持ってるの?ダビングしてくれない?」てな感じでさ。だからぼくはテープを作って、そこにちょっとだけ他のを混ぜる。相手が聴きたいと思っている曲と、押しつけかもしれないけどもしかしたら聴きたくなるかもしれない曲を少し混ぜるんだ。それがうまくいく時もあるし、そうはいかない時もあるけどね。

I: そうは言っても、あなたは親しい人たちと共有する音楽にはとても注意を払っていますよね?そこにはどんな意味があるんですか?

M: 全くその通りだよ。共鳴みたいなもので、そんなに違いはないのかもしれないけど、ぼくが誰かのためにミックス・テープを作る時、そこに自分の気持ちが入ってないようなら、「これはいかん」と思う。もし本当に、本当にわくわくしながらミックス・テープを作っていれば - まぁ全くの見当違いかもしれないけど - 聞いた人たちが「こりゃすごい!」って思うはずなんだ。演技と同じだよ。演技をして、それがとても気持ちよくて、自分の持てるものすべてを出すことができたら、それは観客に伝わるもんなんだよ。その瞬間は、本物の工芸品と同じくらいの価値がある。
(中略)
I: あなたは膨大なレコード・コレクションを持っていますね。レコードからCDに移行しましたか、それともこれからもずっとレコード派ですか?

M: ぼくはいつまでもレコード派さ。レコードを買い始めたのは9歳か10歳のころだ。ポケットに入ってたお金を全部はたいて、シングル盤を買ったりしたものさ。10代半ばになってCDが出てきたけど、別にアナログの方がデジタルよりいいって思ってたわけじゃない。単に貧乏で、CDは高すぎただけだ。レコードを買い続けるってことは、ぼくには大事なことだった。それが自分の美学だとわかったのは後のことで、お金には余裕ができたけど結局レコードにこだわることに決めた時だ。CDを買って楽しかったことなんてないよ。CDで持っていたら、[同じ]レコードを買うとは思わないけど。ダウンロードなんてもっとひどいね。プラスティックの盤にならなくちゃ、音楽を手に入れたことにはならない。デジタルなんてものは、数のうちに入らないんだよ。精神論かもしれないけど、僕はそう思っている。病気だな。

I: お気持ちはわかります。僕は70年代の[ローリング・]ストーンズやエルトン・ジョンのレコードが好きなんです。ブックレットやポストカードがついていて、とても精巧に作られたアートでしたよね。曲だけじゃなくて、パッケージ丸ごとにお金を払っている感じでした。

M: そうそう、そうなんだよ。作品を見て、触れて、それに込められた努力と愛を胸一杯に吸い込むべきなんだ。そうすれば素晴らしい経験をすることができるよ。それは間違いなくぼくにとっては真実だ、なぜならぼくが好きな音楽の70%はアナログだから。もしいい盤を手に入れたら、それは聴くべきものだ。明らかに傷がついているレコードを聞けば、そりゃCDの方がいいと思うだろう。でも、CDはレコードとは比べ物にならない。今は年食ってお金もあるから、そういうレコードを買ったりできる。精神の領域に入っちゃうけど、それでも好きなんだ。「このレコードはもう持ってるけど、でもリイシューなんだよなぁ、なんかイヤだ。やっぱりオリジナルを手に入れなくちゃ」とか、そういうことを考えるのが好きなんだよ。オリジナルの盤て、普通は重みがあって、よりきれいな音がして、ノイズが入っている。アレサ・フランクリンの曲を聴いてごらん、デジタルをふくめて他のどのフォーマットよりも美しく聴こえるから。でも針のあたる音が聞こえちゃうこともあるんだよな。少なくとも僕の耳には、余韻となって残るんだけどね。レコードを手に持つと、すごい重みを感じるよ。それからアトランティック・レコードの赤とプラム色の円を見下ろして、それがただくるくる回るのを見つめるんだ。それがさ…(笑)なんていうか、それをやるのがぼくは死ぬほど好きなんだよ。新しいレコードを手に入れた時が至福の時さ。

I: 一番最近聴いたレコードは?

M: ああ、今ぼくのレコード・プレーヤー壊れてるんだ、だからすっごくいらいらしてる。ついこの間買ったレコードが大量にあるんだけど、まーだ聴いてないんだ。落ち込むどころの話じゃないよ。 そりゃ家にはCDもipodもあるから、音楽には不自由しないけど。でも同じじゃない。2階の部屋に一人で座って、レコードを一晩中次々とかける習慣が恋しいよ。

I: レコードを買うとき、何を買うかどうやって決めるんですか?ソウルやR&Bセクションに直行しますか、それとも店を歩き回って何かが自分のアンテナに引っかかるまで待つんですか?

M: もし知らない街でレコード屋に立ち寄ったら、だいたい60年代・70年代のソウルコーナーに行く。ま、その辺だけを買うわけじゃないけど。探索を始めるにはうってつけってことだよ。他のことでも言えるんだけど、何かについてより深く知ったら、それをきっかけに音楽の迷宮に入り込みたくなるものなんだ。ぼくがまだ若かったころ、レコードを見つめては「このカバーの男はイカしたアフロだな。サイコーに違いない」なんて思ったもんだ。でも今は、もっと細かいところにこだわるんだ。レーベルとかプロデューサーとか[参加している]スタジオミュージシャンとか。欲しいものが決まっててレコード屋に行く日もあるし、何も考えてない日もある。で、何かを見つける。知る。そして考える。「ああ、これが欲しい。」って。

--------------------
いやもうすごいですね。精神論入ってます。まさにイギリスのレコスケ。でもうなずけることもいっぱいあります。私も昔マーティンが作ったようなミックス・テープをくれた知人がいたっけなぁ。まだまだレコード愛が続きますが、次回以降のエントリーにて。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。