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Martin Freeman Tiny Mix Tapes interview. - Part 2- [Music & Drama]

Tiny Mix Tapesという音楽情報サイトに掲載されたマーティン・フリーマンのインタビューPart 2です。レコードへの愛はとどまることを知りません。私は何とかついていけましたが、みなさんはいかがでしょうか。和訳は拙訳です。誤訳等お気づきの点があれば、コメント欄でお知らせください。

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Source: Martin Freeman (The Office [UK]): Interview

I: 数が少なくて、レコードで探すのが難しいものに興味がありますか、それとも音がよければいいですか?

M: そりゃ音がいい方がいいよ。でも、希少なものを見つけて、それが本当に本当に自分の欲しいものだったら、2倍も3倍も素晴らしいよね。ホント、最高に楽しいよ。70年代初頭にシリータ[訳者注:アメリカのソウル・シンガー]がスティービー・ワンダーと一緒に録音したレコードで、“To Know You Is To Love You,”ていうのがある。僕はその曲が収録されているータウンのヒット・コンピレーションを持ってるんだけど、でもずっと7インチ[訳者注:シングル盤レコードの意]で欲しかったんだ。10年前にヨークシャーの劇場で仕事してた時、地元のレコード屋に行った。そしたら、その7インチを2.5ポンドで売ってたんだぜ!「おいおいマジかよ!」て思った。あんまり興奮しすぎて、文字どおりひいひい言いながらその店を離れたよ。ホントもう泣くかと思った。だってシリータのオリジナルの7インチが2.5ポンドだぜ?すごい希少なレコードじゃないけどさ、ぼくはずっとその7インチを探してたんだよ。
(中略)
I: あなたにとって、言うなれば白鯨のような、人生をかけてずっと探しているけど今も見つからないレコードはありますか?

M: うん、あるよ。シリータのファースト・アルバムで、スティービー[・ワンダー]がプロデュースして曲も一緒に書いたやつ。1972年に発売されたもので、セルフ・タイトル[訳者注: レコードのタイトル=自分の名前]なんだ。74年に発売された素晴らしいセカンド・アルバム「Stevie Wonder Presents Syreeta」は持ってるんだけど、ファーストがどうしても見つからない。ビートルズの「シーズ・リービング・ホーム」のカバーやその他いろいろ収録されている。70年代初頭で、スティービーがモーグ[訳者注:モーグシンセサイザーの意]に入れ込んでて、アコースティックなのに交響曲っぽいソウルをやってたころさ。レコード屋に行くたびにみんな「それならすぐに見つかると思うよ」って言うんだ。でも、レコード屋ではただの一度も見たことがない。ちょっと前に友達が1枚手に入れてね、ぼくのところに持ってきて聴かせてくれたんだ。最高ってわけじゃなかったけど、でもやっぱり今でも欲しい。ぼくはあきらめないよ。いつか自分で見つけるんだ。(もし見つかったら)クリスマスみたいな気分になるだろうね。

I: 私はレコードをぴっちりプラスティックで巻いて、棚に入れたまま2度と聴かないというレコード・コレクターをたくさん知ってます。そのことにあなたは納得がいきますか、それともレコードを博物館の展示品みたいに扱うのには間違ってると思いますか?

M: ぼくにはできないな。それってカタログナンバーでレコードを買うようなものじゃないか。レコードは聴かれてなんぼだよ。もしシェイクスピアを棚に並べてるんなら、読めっつーの。レコードは神聖なものだけど、取りだして感謝されるべきものなんだ。

I: ケニー・バーレルという人が、フランク・ウィルソン[訳者注:モータウン・レコードの敏腕プロデューサー]の“Do I Love You (Indeed I Do).”[訳者注:サンプル盤が作られたが、正式に発売されなかった作品]のオリジナルの45インチ[レコード]を26,483ドルで買ったと聞きました。あなたは同じレコードにそれだけのお金を払いますか?

M: いいや。ぼくは自分の持っている“Do I Love You.”で十分。リイシューだけど、全然問題ないよ。そんなにお気に入りのソウル・レコードじゃないしね。好きだけど、オリジナルを手に入れるためにそこまで苦労しようとは思わない。別にフランク・ウィルソンの45インチにそれだけ払う人がいても驚かないよ。多くの人が“Do I Love You”を究極のノーザン・ソウルだと思ってる。コレクターの間では、聖杯の一つだから。君がどれだけイギリスのノーザン・ソウルとそれを取りまく状況を知ってるかは知らないけど。もう宗教と一緒だよ。

I: あなたの言うノーザン[・ソウル]とはサザン・ソウルの逆ということですか?デトロイトのヒット製造メーカーモータウン対ウィルソン・ピケットとオーティス・レディング擁するスタックス・レコードみたいな?

M: いやいやいや。イギリスでは、ノーザン・ソウルってそういう意味じゃないんだよ。アメリカでソウルを生み出した人たちとは全然関係ない。僕たちがノーザン・ソウルと言う場合、それは60年代と70年代のイングランンド北部で育ったサブカルチャーと、それにまつわる生き方全般のことを指すんだ。言うなれば、退屈したワーキングクラスの連中が週末に乱痴気騒ぎをしたって感じ?ドラッグはやらないけど、クラブに行って踊りまくるんだ。今となっては北部だけじゃないけど、ともかくそれは40年もこの国に巣くっている大きな、本当に大きなサブカルチャーなんだ。ぼくらがノーザン・ソウルについて話す場合、とにかくある種のモータウンやR&Bを死ぬほど愛しているやつらのことを言う。もし君が直接関わったことがないなら、こいつらどうかしてるんじゃないかと思うだろう。ホント、イカれているからね。でも、自分がその一部じゃなくても、気持ちがわかるとこもある。本物のノーザン・ソウル狂にとって、1975年以降のレコードが好きだなんて許されないんだ。ぼくは「Four to the Floor」[訳者注:70年代のダンス・ミュージックでよく使われたリズムパターン。ドラムの4つ打ち]を一晩中聴くよりは、いろいろな音楽を聴きたい方だけど、彼らのあり方も好きだよ。音楽とはそれほど重要なものであるべきだ。

I: それはなぜ人が音楽に惹かれるのか、その理由の大きな部分を占めると思いませんか?あるスタイルや音楽のジャンルを楽しむことで、もっと大きなコミュニティに属しているように感じられますからね。

M: そのとおり。時々息苦しくなる時もあるけどね。誰かとすれちがった時に彼のはいてるパンツを見て、「あ、こいつ俺と同じ音楽が好きなんだ」って思うのはいいよ。でも、それですべてを決めつけられると「うん?それって俺はザ・バンド[訳者注:70年代に活躍したアメリカのロックバンド]を聴いちゃダメってこと?」と思っちゃうんだ。「彼は俺の仲間になれる」から「これってめちゃくちゃ息苦しいな」に簡単に変わるんだよ。自分の聴く音楽や聴いてみたい音楽に制限をかけたとたん、あっという間に悪い道に転げ落ちるって思うんだ。

I: 以前インタビューで「カトリックを感じる音楽」が好きだと言っていましたね。具体的に教えてください。

M: カトリックは言葉のセンスの問題で、幅広いとか普遍的なっていう意味で使ったんだ。すべてのものを好きだなんて言いたくないよね、それって多くのくっだらないものも好きってことだから。でもジャンルに限って言えば、ぼくは自分に制限をかけたくない。ぼくは「俺はフォークなんて好きじゃない」っていう人間にはなりたくないんだ。この国では、あまりジャズを好まない人がたくさんいる。特定の誰かをというわけじゃなくて、もうジャンル全体をね。「ジャズ?うわー、最悪じゃん」てな感じ。でもぼくに言わせると「俺はクラシック嫌いだ、ベートーベンなんてクソだぜ」って言ってるのと同じだよ。ある種のジャズが小難しいのはぼくにもわかる。抑揚のないCスケールが10分も続くやつなんて、みんながみんな、いつまでも聴きたいとは思わないよね。でも、ジャズってそれだけじゃないよ。以前リッキー・ジャーベイス[訳者注:イギリスの脚本家で、『The Office』の演出と脚本も手がけた]とその話をしたことがあるんだけど、彼はぼくにジャズが好きなふりをしてるんだろって言ったんだ。いや、まさか、絶対そんなことないよ。でもだからってロックと同じくらいジャズが好きってことにはならないだろ。

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なんというか、どこまでいっちゃうんでしょう、この人(苦笑)。だてにLPレコード数千枚持っているわけじゃないですね。ちなみにノーザン・ソウルについては、イギリスの刑事ドラマ『孤高の警部ジョージ・ジェントリー』の「ノーザン・ソウルの夜に」という回を観ると雰囲気がよくわかります。ほぼマーティンの言葉どおりに再現されていてうなりました。えーと、あともう1回くらい続きますので、しばしお待ちを。
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